親子の老後編集部

チェックリストで確認しよう!認知症の早期発見と物忘れの違い

健康・介護

2017.10.7

年をとった親から、「最近もの覚えが悪くなった」「約束の時間を間違えて集合に遅れてしまった」そんな話を聞くことがありませんか?
また、同じことを繰り返して言うようになったり、自分の言ったことを忘れたりする親の様子を見て、これはちょっとおかしいのではないかと思うことがあるかもしれません。
そんなことが続くと「もしかして親は認知症なのでは?」と心配になることもあるでしょう。

物忘れと認知症は違うもの

覚えていたはずのことを忘れたといっても、すべてが認知症というわけではありません。認知症ではないいわゆる「物忘れ」は、年をとると起こる自然なことです。多少不便なことはあるかもしれませんが、特に問題にしなくてよいものです。

しかし、認知症は発症するとこれまでの生活を維持することが難しくなるので、本人も家族も大変なことになります。早いうちに発見して適切な対応をする必要があります。
同じように見える物忘れと認知症ですが、実はまったく違うものなのです。
改めて物忘れと認知症との違いを確認してみましょう。

物忘れとは加齢に伴う自然なこと

脳の機能としての「記憶力」そのものは20代をピークとして低下していきます。しかし、物事に対する理解力や判断力は経験を重ねるにつれて増していくので、人間の全体的な能力として困ることはありません。

しかし、60歳を過ぎると加齢とともに脳の機能は下がっていきます。これは病気ではなく自然なことです。また、経験して脳に蓄えられている知識や、判断しなければならないことが多いので、とっさに出てこないという面もあります。小学生の子どもならば友達の数も知っているタレントの数も限られていますが、60歳ともなるとそうもいきませんよね。

「記憶力」とひとことで言いますが、実際には物事を覚えることと、覚えたことを思い出して使うことがセットになって生活はまわっています。このうち、「物忘れ」とは、「覚えたことを思い出す」ことがスムーズにできなくなることをさします。たとえて言うなら、脳の引き出しの中のものが増えてぎゅうぎゅう詰めになっていて、引き出しの中からすぐに目当てのものが取り出せない状態になっているのです。

たとえば、頭に浮かんだ女優さんの名前が出てこない、通帳をどこにしまったのかを忘れてしまった、というようなことがその例です。少しヒントがあったり、調べたりすれば自分で思い出したり理解することができる、それが物忘れです。また、単なる物忘れの場合は症状が進行していくことはありません。

認知症とは脳の機能に障害が出る病気

認知症は、病気によって脳の神経細胞が壊れることによって起こる症状です。脳の画像を撮ると、脳細胞が減った部分が空洞となって写ります。
物忘れが出来事の一部を忘れるのに対して、認知症では出来事そのものを忘れてしまうのが大きな違いです。そのため、「自分が何かを忘れていた」ということ自体を認識できなくなるのです。
朝ごはんを食べたことは覚えていても、何を食べたかを忘れるのが物忘れです。

それに対して、認知症になると朝ごはんを食べたことそのものを忘れてしまいます。そして、「まだごはんを食べていない」と繰り返して言うようになります。まわりが「朝ごはんはごはんと味噌汁を食べたよ」と説明しても、“朝ごはんを食べた”という出来事そのものを忘れているので、本人は納得することはないのです。
引き出しのたとえで言うなら、脳の引き出しに新しくものを入れることができない、引き出しが開かないので昔入れたものが取り出せないという状態になってしまうのです。
また、認知症は症状がだんだん進行していくのが特徴です。

物忘れか認知症か チェックリストで判断してみましょう

単なる物忘れなのか、認知症なのか判断が難しいケースもあります。その境界線上にある場合、MCI(軽度認知障害)と呼ばれます。
この場合は、生活習慣を改善したり、脳トレをしたり、薬を飲んだりすることによって、認知症への移行を遅らせることができることがあります。

気になる物忘れが、単なる物忘れなのか、認知症予備軍なのか、それを判断するめやすとして、「いっぷく」で取り上げられていた、横浜相原病院 吉田勝明院長監修のMCI(軽度認知障害)かどうかを判断するチェックリストをご紹介します。

(1) 家のカギをかけたか不安になり家に戻る。
(2) ホテルや旅館で部屋の番号を忘れてしまう。
(3) 知り合いの名前が思い出せない。
(4) その場所に行くと用事を忘れていまう。
(5) 何度も同じことを言っていたと注意される。
(6) 出かけたこと自体を忘れてしまう。

このチェックリストでは、
(1)(2)は「注意力がなくて起こるもの忘れなので問題なし」
(3)(4)は「基本的には問題のないもの忘れ。ただし、ヒントを出しても答えが出てこない場合はMCIの可能性」
(5)(6)は「『自分が話したこと』や『出かけたこと』など、1か月以内に体験したこと自体を忘れてしまう場合はMCI、または認知症の可能性が高い」ということです。

また、次のようなテストも判断する助けになります。

(1) 箱の中に入っている5つの物の名前を読み上げる。

(例:めがね、ノート、リンゴ、ガムテープ、靴下)
(2) 質問に答える。
(例:今年は西暦何年? 今日は何月何日何曜日? きのうの夜ごはんのメニューは?)
(3) 箱の中に入っている5つの物の名前をもう一度答える。

このテストでは、(2)の質問に対する答えではなく、(3)の箱の中に入っている物の名前をいくつ覚えていられたかがポイントです。5つのうち正解が2つ以下の場合はMCIの疑いがあるそうです。

(参考:http://www.tbs.co.jp/ippuku_tbs/corner/clinic/20150127.html

現在は「物忘れ外来」もポピュラーになってきているので、もしこのチェックリストでMCIの可能性があるようなら受診してみるといいでしょう。もし病院を嫌がるようであれば、「テレビで見たのだけど、新しい検査が受けられるらしいよ」と勧めてみてはどうでしょうか。

認知症を早期発見するために

「最近物忘れがひどくてこんな困ったことがあった」と親自身が言うのならばまだ認知症の可能性は低いかもしれません。
反対に、親に自覚がないのにトラブルが続くようなら要注意です。何度も電話をかけてきては同じことを言う、冷蔵庫の中に賞味期限切れの同じ食材がたくさんある、ものを盗られたと訴える、などの行為があると認知症の可能性があります。

ただ、今は大丈夫だったとしても、親はどんどん年をとっていくので、認知症が発症する可能性がなくなったわけではありません。また、認知症は徐々に進行していくものです。正月に会ったときにはこれまでと変わりがなかったのに、お盆に帰省すると家の中が散らかっていて、言うこともおかしくなっていた、などということもあります。
家族も認知症の特徴をふまえながら見守っていくことが大切です。

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