親子の老後編集部

生前贈与の基礎知識(知っておきたい贈与税の基本と節税対策)

お金

2018.8.20

せっかく一生懸命働いて築いた財産。相続税で取られるよりは、少しでも子供や孫に残したいと、節税対策としての贈与が今注目されています。 しかし、贈与に対しても一定金額を越えると贈与税がかかります。

ふだんなじみのない「贈与」や「贈与税」。
ここでは、生前贈与と贈与税はどのようなものかについてご紹介します。

贈与税とは

財産を持っている人が亡くなったときに発生する相続に対して、生きている間に財産を他の人に譲ることを「贈与」と言います。そして、贈与された金額が一定の金額を越えると贈与税がかかります。

生前贈与で贈与税がかからない金額はいくら?

贈与税の基礎控除

毎年1月1日から12月31日までの間の1年間で、1人あたり110万円以下の贈与であれば非課税となります。これを「暦年課税」と言います。 この場合は贈与税の申告も不要です。

ただ、たとえ110万円以下の金額であっても、毎年定期的に同じ金額を贈与していると、最初からまとまった金額を贈与する意図があったとみなされて、税金がかかることがあるので注意が必要です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、贈与税と相続税を通じた課税が行われる制度のことです。 原則として60歳以上の父母あるいは祖父母から、20歳以上の子あるいは孫に対して財産を贈与した場合に選択できます。

この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

2500万円の税金控除が受けられます。2500万円を超えた分には20%の税金がかかります。 この制度を利用したときには暦年課税は受けられないことに注意が必要です。

住宅取得資金贈与の特例

平成 27 年1月1日から平成 33 年 12 月 31 日までの間に、父母や祖父母などから自己の居住用の不動産を取得するための贈与を受けたた場合に、贈与税が非課税となります。
非課税限度額は、住宅の種類や時期によって300万〜3000万円となります。

夫婦間贈与の特例の場合
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の贈与が行われた場合、最高2,000万円まで配偶者控除できるという特例です。この制度は基礎控除110万円と併用できます。

教育資金贈与の特例の場合
祖父母などから孫などの間で、教育費として贈与が行われる場合は、1,500万円までが非課税となります。しかし、贈与が適用されるのは贈与を受けた人が30歳になるまでです。利用する場合には、信託会社と教育資金管理契約を結ぶ必要があります。

結婚子育て資金贈与の特例の場合
平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、父母や祖父母などから20歳以上50歳未満の人が、結婚・子育て資金に充てるために贈与を受けた場合に贈与税が非課税となる制度です。子育ての場合は1,000万円、結婚の場合は300万円が限度額となります。

贈与税の税率と控除額

一般的な贈与のケース

贈与額から110万円を引いた額 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円以上 55% 400万円

親または祖父母から20歳以上の子供へ贈与するケース

贈与額から110万円を引いた額 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円以上 55% 640万円

 贈与税の計算方法

例 親から20歳以上の子供へ、現金400万円の贈与があった場合の計算式

(贈与額400万円−110万円)×15%(税率)−10万円=33万5千円

こんなものにも贈与税がかかる

贈与税は、個人から金銭をもらったときにかかるものというイメージが強いですが、以下のような金銭のやりとりを伴わないものも贈与として扱われるので注意が必要です。 これらは「みなし贈与財産」と言われます。

1.保険料を負担しないで受け取った保険金
例 生命保険をかけるときに、掛金を負担せずに満期保険金を受け取った。
  損害保険をかけるときに、掛金を負担せずに損害保険金を受け取った。

2.掛金を負担しないで受け取った定期金
(「定期金」とは生命保険会社の個人年金のようなもの)
例 掛金を負担せずに定期金を受け取った。

3.著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合の利益
例 親の所有する土地を、時価よりかなり低い金額で子供に売却した。

4.債務免除や債務引受等による利益
例 子供の住宅購入のローンを親が負担した。

5.上記以外で、無償又は著しく低い価額で得た利益

贈与税がかからない場合

個人の間で金銭のやりとりがあっても贈与とみなされない場合は以下のようなものです。

1.法人からの贈与により取得した財産

2.扶養義務者相互間における生活費や教育費
通常の家庭の中における生活費や、子供の教育にかけるお金は贈与とはみなされません。

3.宗教、慈善、学術などの公共事業を行う者が公共事業を行うために使うお金

4.社会通念上必要と認められる香典、贈答、祝物、見舞などのための金品

5.相続開始の年に被相続人から贈与された財産
相続開始の年に贈与された財産は、贈与税ではなく相続税の課税対象となります。

贈与税の申告と納税方法

贈与税の申告は、原則として財産を受け取った人が受け取った年の翌年2月1日から3月15日までに行う必要があります。納税の申告書を提出する場所は、贈与を受けた人の住所を所轄している税務署です。 納税方法は、現金で納付するほかe-Taxも利用することができます。

生前贈与に関する注意点

1.基礎控除額は何人から贈与を受けても変わらない
生前贈与の際の基礎控除額110万円とは、贈与を受ける側1人につき、控除額が110万円であるということです。

たとえば、孫が父方の祖父から100万円、母方の祖父から100万円の贈与を受けた場合、それぞれについて110万円、通算220万円の控除が受けられるわけではなく、孫1人の控除額が110万円なので、それを越えた90万円は贈与税の対象となります。

2.贈与されたお金は贈与された人が管理する
たとえば、祖父が孫の銀行口座にお金を振り込んで贈与したとしても、その口座の通帳や印鑑を祖父が管理している場合は贈与とみなされない場合があります。

3.生前贈与の特例を利用して贈与されたお金は、目的以外のことには使わない
たとえば、教育費として贈与されたお金を別の目的に使った場合は贈与とみなされない場合があります。

まとめ

生前贈与に関しては、相続税と同様に様々な決まりがあります。分かりにくいことも多いですが、上手に利用すれば大きく節税することも可能です。 親が元気なうちから準備をしていくようにしましょう。

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