親子の老後編集部

相続の基礎知識(相続税の基本と計算方法について)

お金

2017.11.17

親が高齢になってくると気になるのが相続の問題です。
お金や財産のことは、家族や兄弟の間でもなかなか話題にしにくいことです。
しかし、親が亡くなったときに慌てなくてすむように、親が元気なうちから準備をしておくと安心です。節税対策を考えることもできるでしょう。

ここでは、日ごろなじみのない相続税についてご紹介します。

相続税とは

「相続税」とは、亡くなった人の財産を相続人が受け取ったときに、その金額に応じてかかる税金のことです。 相続人は亡くなった人の家族であることが一般的ですが、遺言によって家族以外の人が相続する場合にも相続税がかかります。

ただ、すべての相続に対して相続税が発生するわけではありません。相続税には基礎控除があるので、実際に相続税が発生するのは相続全体の10%程度であると言われています。

相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告と納付をする必要があります。財産を把握して計算したり、法定相続人を確定したりするのには時間がかかるので、相続税が発生するときにはすみやかに対応しなければなりません。
ただし、相続税が発生しないときは申告の必要はありません。

相続税が課税されるのは、「富の再配分」を促すためです。もし相続税がなければ、お金持ちの家はずっとお金持ちのままで、お金のない家はお金のないままで、時代がたつごとに貧富の差がどんどん固定されてしまいます。

相続税によって個人の財産を社会に還元し、生まれによる不平等を少しでも是正するために、相続税が導入されています。 そのため、相続税がかかるのは一定以上の財産がある場合に限られます。

相続税の税率区分

相続税の税率は、平成27年1月1日より以下のように変更になりました。
この変更により、課税対象となる人が増えています。
相続財産が多いほど税率が上がる、累進課税制となっています。

基礎控除を超えた金額 相続税率 税金控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

相続税の基礎控除

相続税を支払うかどうかにかかわる大事なポイントは「基礎控除」です。
基礎控除とは、残された相続財産が定められた金額より下である場合には相続税を支払わなくてよい、というものです。

基礎控除の計算は以下の通りです。
3000万円+法定相続人の人数×600万円

たとえば、夫が亡くなり、法定相続人が妻と子ども2人の計3人の場合
3000万円+3人×600万円=4800万円
基礎控除額は4800万円となるので、残された相続財産が4800万円以下の場合は、相続税を払う必要はありません。

相続税を計算する手順

相続財産が基礎控除を上回る場合は、相続税を計算して納税しなければなりません。
相続税は次のような手順で計算します。

1.相続する財産が合計でいくらになるかを集計する

相続財産としては、次のようなものがあります。
・現金
・預金

・不動産
土地や建物については路線価で計算します。また、「小規模住宅等の特例」があります。これは、亡くなった人や生活を共にする家族の居住用や事業用の宅地について、一定の要件を満たした場合にその評価額を80%減額するという規定です。

・株式などの有価証券
・自動車や骨董品など

・死亡退職金や生命保険
下の計算式による非課税限度額を超えた分が相続財産に加算されます。
非課税限度額=500万円×法定相続人の人数

2.遺産総額を計算する

1で計算したすべての財産の合計から、借金・ローン・葬儀費用を引きます。
それが遺産総額となります。

人が亡くなったあとに、所得税や住民税の支払い通知が届くことがあります。これは、亡くなった人が生きている間の収入に対してかかっていた税金です。 もしこのような支払いがある場合には、相続財産の中から支払うことができます。

3.法定相続人の数を確認して、基礎控除額を計算する

亡くなった人の戸籍謄本を出生から死亡まですべて取得して、法定相続人の数を確定します。 亡くなった人が離婚や再婚をして子どもがいる場合や、養子縁組をしている場合などにも相続が発生するので注意が必要です。

法定相続人の数が確定したら、基礎控除の計算式に則って基礎控除額を計算します。
3000万円+法定相続人の人数×600万円

また、相続人が未成年者や障害者である場合にも控除があります。
未成年者控除
未成年者が満20歳になるまでの年数×10万円
障害者控除
障害者が85歳になるまでの年数×10万円

4.遺産総額から基礎控除額を引いて、相続税の有無を確認する

2で計算した課税遺産総額から、3で計算した基礎控除額などを引いて、相続税がかかるかどうかを確認します。 ここで相続税が発生しないことがわかれば、相続税を払う必要はありません。

5.相続税がかかる場合は、各相続人の税額を計算する

4の計算をして相続税が発生することがわかった場合には、各相続人ごとに税額を計算します。

例として、8000万円の遺産がある夫が亡くなり、法定相続人が妻と子ども2人の計3人の場合を考えてみましょう。

①遺産総額から基礎控除額を引く
基礎控除は以下のとおりです。
3000万円+3人×600万円=4800万円
8000万円ー4800万円=3200万円が課税遺産総額になります。

②法定相続分で按分する
ここでは、遺言がない場合の法定相続分で按分しています。
 妻:3200万円 × 1/2 =1600万円
長女:3200万円 × 1/4 = 800万円
長男:3200万円 × 1/4 = 800万円

③相続税の計算
 妻:1600万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) =190万円
長女:800万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) =70万円
長男:800万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) = 70万円

④全員の相続税額を足す
190万円+70万円+70万円=330万円

⑤それぞれの実際の配分比率で相続税の総額を配分
 妻:330万円 × 50% =165万円  
*配偶者は法定相続分までは相続税がかからないため相続税は0円。
長女:330万円 × 25% = 82万5千円
長男:330万円 × 25% = 82万5千円

まとめ

相続税は財産が多い人にかかる税金です。もし、相続財産が少なくて相続税の支払いの必要がないことがあらかじめわかっていれば、親が亡くなって慌ただしいときに余計な心配をしなくてすむでしょう。

また、相続税がかかりそうなときには、節税対策を考えることもできます。前もって財産の状況を把握しておいたり、場合によっては税理士に依頼する心づもりをしておけば安心です。

親が亡くなったときに相続人の間でトラブルになることを防ぐためにも、親が元気なうちから財産の相続について確認し、家族で話し合っておくとよいでしょう。

>>「相続の基礎知識(相続の順位と移動、相続の割合について)」はこちら

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