親子の老後編集部

高齢者の自立した生活のためのリフォーム事例5選と費用

暮らし

2018.9.25

「バリアフリー」というのはよくイメージされる段差やスロープといったバリア(障壁)をなくす意味もありますが、もうひとつ、心理的バリアを取り除く意味もあります。心理的バリアとは、今までしてきた活動がしにくくなる、不安になる、そしてできなくなるといった過程で自信をなくすといった心理的な障壁をとりのぞくことです。

今回は、心理的バリアをなくし、生き生きと自立した生活ができるリフォームについてお伝えします。

1.トイレのリフォーム

排泄に関わることは、個人の尊厳といった意味で何より大切なことでしょう。裏を返せば、ここがうまくできないと心理的にまいってしまいます。トイレに関する不安を取り除くことは一番に考えるべきことです。

手すりをつける

立ち上がり時に必要ですが、それだけでなく姿勢を保持するための位置にもあるとよいでしょう。年齢とともに排泄に時間がかかり長い時間座ることも増えますが、体のバランスが悪くなり座位を保つのが難しくなることもあり得るからです。

引き戸にする

開き戸の場合、出入りに前後移動が必要になります。トイレの中は十分な広さがないことが多く、何度も行く必要があるにもかかわらず出入りがしにくい場所です。軽い力で動かせる引き戸にするのも一案でしょう。

タンクレスにする

便座のむこうにある手洗い器は高齢になると非常に使いにくいので、手洗い器を手前の壁側面にするとぐっと使いやすくなります。壁に12cmほど奥行が必要ですが、タンクがなくなった分、前面に余裕ができますからかえって広くなったように感じられます。

2.お風呂のリフォーム

トイレと同じく、できる限り誰かの世話になりたくないところですね。また衣服を脱ぐ場所なので温度差にも気をつけたいところです。

ユニットバスにする

昔ながらのタイルの床、ステンレスの浴槽にこだわりたいところですが、冬の寒さの厳しさを思うとユニットバスがおすすめです。ユニットバスはデザインもさまざまで、浴槽が低く、階段状の段差がつけられ、またいで入りやすくなっています。また全体的に丸みをおびたデザインなので、万が一転倒したときにも衝撃はやわらかです。

3.台所をリフォームする

立ち仕事が長くなりがちであること、火を使うことの2点に注意しリフォームを考えるとよいでしょう。動線をシンプルにする大がかりなリフォームができるとよいですが、そうでなくても使いやすい器具に替えるだけでも、心理的バリアはずいぶん少なくなります。

流し台を使いやすいデザインや高さにする

若いときに合わせて作られた台所が、高すぎて使いづらくなっていませんか。台所をリフォームする機会があれば、高さの調節も考えましょう。

また足腰が弱くなりそれをカバーするために膝が前に出るようになってくると、収納扉に膝があたり作業がしづらくなります。そこで最近では収納部分が奥まっているデザインが人気です。腰かけながらできる低めであればさらによいでしょう。

水栓蛇口をとりかえる

握力が弱まっていることを考え、混合栓になったシングルレバーにするとよいでしょう。そのレバーも水道の根元でなく蛇口付近についたものにすると届きやすくて楽になります。タッチするだけで出るものやセンサーつきのものもあります。

コンロをとりかえる

火災につながる加熱器は何より安全を考えて早い段階で取り換えたいものです。一定の時間で自動消火になっているものが安心ですね。また鍋の上げ下ろしがしづらくなり五徳にひっかかってという事故を考えると、なるべくフラットなデザインであることをおすすめします。

フラットといえばIH(電磁調理器)が最適ですが、IH専用の鍋は重くなりがちであるのが難点です。メーカー主催のお料理教室があれば参加してみて使い勝手を体験するのもよい方法ですね。

4.収納棚を使いやすくする

高齢になるにつれ、記憶が不確かになり、何をどこにしまったのかわからず一日探し回るといったことが増えてきます。また高いところにしまったものを取ろうとしてけがをするということも起こりがちです。
そこでできれば早い段階から収納を見直すことに取り組むことをおすすめします。

高さと奥行に注意して選ぶ

踏み台を使い転倒を招くといった事故につながらないよう、せいぜい目の高さまで、そして奥行も浅いものにします。見にくいことが踏み台を使うことにつながりますから、立っているそのままの高さで見える棚にすることが大切です。どうしても高いところの棚が必要な場合は電動の吊戸棚もあります。

収納場所をまとめる

なかなか難しいことではありますが、収納場所を少なくすることをおすすめします。自分でも驚くほど記憶は不確かになるので、あちらを探しこちらを探す、ときには子どもに叱られるといったことが繰り返されると自信がなくなり心理的に弱くなる原因になります。
使いやすい、思い出しやすい、そんな収納になるよう元気なうちに整理します。つまずきの原因になる無駄な収納家具も処分しましょう。

5.ベッドまわりのリフォーム

寝る前や起床後すぐは頭もぼんやりしています。そんなときでも動きやすい環境にしておくことが大切です。

手すりをつける

寝たり起きたりは毎日のことなので、今はひとりで起きられていてもスムーズに眠りにつけるよう、またトイレに起き上がれるよう手すりをつけておくと安心です。

ベッドまわりを安全に

つまずくような家具の出っ張りはないか、足元が暗くないか、必要であればリフォームします。照明については、人の動きを感知して点灯するものが便利です。

それぞれの費用について

大きな取り換えになるので費用が心配ですが、案ずるより生むが易しですからおおよその目安をお伝えします。介護保険制度を利用すれば1割負担ですが、すべてに利用できるわけではありません。

トイレ

トイレをタンクレスにする場合は、商品代代20~30万円、工事費12万円、手洗い場設置で23~28万円です。少なくとも50万円ほどは見積もっておきます。
トイレのドアを引き戸にすることは後々の車いす移動のためにもおすすめです。工事費は10~20万円です。

浴室

浴室をユニットバスにする費用は、大きさや素材、デザインによって違いますが70~100万円かかります。温度差を考えて浴室暖房をつける場合はさらに10~20万円必要です。

台所

台所についてはどの程度大がかりにするかによって大きく変わってきますが、水栓取替については3~4万円が目安で、IHに取り替える場合は工事費込みで6~15万円と幅があります。

まとめ

タイミングはいつにすればよいか迷いますね。急な変化は混乱を招きますし、高齢者本人の希望とまわりの家族の状況もありますから、自立した生活をなるべく長く続けられるよう整えることは早ければ早いほどよいのですが。

老後のことを考えリフォームをと考えたときに、地域包括センターがまさに包括的な相談先として最適です。状況に合わせて何をどうしていけばよいか、介護保険制度の利用内容についてなどを相談した上でそれぞれに合った計画をしていくとよいでしょう。

>>「高齢者の転倒を防ぐバリアふりーのリフォーム事例と費用5選」記事はこちら

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