親子の老後編集部

データでみる高齢者の孤独(後編)~孤独による問題と解決策~

暮らし

2018.9.10


配偶者の死別または施設に入るなどがきっかけで一人暮らしになった親に関する心配は、いろいろありますね。犯罪に巻き込まれないか、火の始末は大丈夫か、話す機会が減り認知症が進行しないか、など。

今回は、前回の「高齢者の孤独の現状」に続き、「高齢者の孤独による問題と解決策」をデータや事例を紹介しながら、お伝えします。

一人暮らし、孤独によって起こりうる問題

高齢者は特殊詐欺のターゲット

特殊詐欺というのは、オレオレ詐欺、架空請求、融資保証金詐欺、還付金詐欺などです。下のグラフは、警察庁から出された平成24年度の特殊詐欺の被害者年齢と性別の割合を示したグラフです。

59歳以下という広い年齢のくくりに比べ、60歳代、70歳代の割合の高さから明らかに高齢者を狙った犯罪であることがわかります。性別構成では女性が7割を占めています。

特殊詐欺の被害者年齢・性別割合(平成24年)
 
特殊詐欺については、警察がポスターの掲示や防犯講話などで防犯指導に努め、注意喚起をし、全体には平成14年度の約285万件をピークに平成24年度は138万件と減少傾向にあります。

しかし、下のグラフのように高齢者の占める割合は年々増加しているのです。59歳以下にはその周知活動が功を奏していても60歳以上の高齢者にはまだまだ不安が残ります。

刑法犯認知件数及び高齢者の被害割合等の推移(平成5~24年)

こういった特殊詐欺は電話によるものと直接訪問によるものが多く、疑いつつも信じてしまうという過程の中で気軽に相談できる人が身近にいれば防げた場合は多いでしょう。

参照元:平成25年版警察白書 

一人暮らしの高齢者の火災は怖い

平成26年に住宅防火対策推進協議会により発表された資料によると、高齢者が死傷した住宅火災の居住者構成の中で一人暮らしの高齢者の占める割合は、43.3%にも上っています。高齢者夫婦のみが18.2%、高齢者一人と子ども世帯が18.8%と続きます。

死傷した高齢者で歩行困難や認知症など何らかの障害があった割合は6割と高めです。逃げ遅れによる結果であることがうかがえる数字ですが、やはり火災の被害は発見から消防署への連絡を含めた消火活動がいかに迅速に行えるかによることを考えると、一人暮らしの親への心配は尽きませんね。

認知症の進行が加速する

内閣府から出された一人暮らしの高齢者に今後の同居の意向についてのアンケート結果では、「今のままでよい」、つまり同居は望まないと答えた人が平成14年には71.9%、平成26年には76.3%と増えています。一人暮らしを良しとし元気で暮らしているように思えます。

しかし実際にはおしゃべりする機会が思いの外少なかったり、近所との付き合いも希薄だったりといった様子が資料からはみえています。

言うまでもなく会話することは楽しいものであり、認知症の進行を防ぐためには何より有効でしょう。そういった機会が少なくなる一人暮らしは認知症の進行を加速させることは簡単に想像できることです。

問題の解決策

上記のような問題は言われるまでもなくだれもが思い浮かべることです。老いていくことは止められませんが、同居をすればその多くの問題が、完全に解決しないまでも減少するであろうことは容易に思いつくことです。それでも難しい、できない状況があるのが今の社会です。

それに対し、さまざまな解決策や取り組みが生まれています。そのいくつかをご紹介します。

体が元気なうちは働くのが一番

働くことは生きがいにもつながり、知り合いも得られ、経済的にも潤う一石二鳥以上のよいことがあります。体が元気なうちは無理のないペースで働くことは最良なことといえるのではないでしょうか。厚生労働省が発表している資料でも、60歳以上の常用労働者数は増加傾向にあります。2009年と2014年を比較すると約226万人も増加しているのです。

地域で自然な「見守り」を受けられるようにする

日々の見守りを考えるときに一番頼りになるのは同じ地域に住む人々の協力です。地域の民生委員やボランティアの方々を中心に声かけや訪問などができる取り組みをしています。

たとえばお弁当配食サービスがその一つで、お弁当を届けると同時に一人暮らしの高齢者の様子を見守っています。一週間に一回や数回の利用であっても、継続していけば変化があったときにはわかります。

いつも朝一番に取り込まれていた新聞が取り込まれていない、洗濯物が干しっぱなし、会話がかみ合わない、なんだか元気がない、そういった気になる変化に気づいてもらえるのが何よりありがたいことです。

そういった見守りサービスについて相談にのってくれる先は、地域にある「地域包括支援センター」です。一度訪ねてみられることをおすすめします。

「見守り」サポートサービスをする民間企業もある

定期的に訪れる郵便配達員や宅配便業者による見守りや電話による安否確認サービスも始まっています。訪問による見守りでは、人の目視による確認なので精度や安心度は高くなりますが、毎日訪問することは難しく、緊急時に対応できるかという不安もあります。

電話による安否確認も、訪問と同様に、緊急時の対応には不安がありますが、毎日電話して安否を確認できるサービスもあり、訪問より見守り頻度は高くなります。加えて、人との会話が少なくなりがちが一人暮らしにおいて、電話ででも毎日会話ができることは、高齢者からすると日々の楽しみに繋がる可能性があります。

緊急時の対応を強みとするサービスとしては、24時間見守ることができるセンサーや機器を使っての見守りや安否確認サービスが警備会社を中心に行われています。高齢者側のトイレや居間、玄関などにセンサーをつける、ドアの開閉や照度センサーで日々の行動をうかがうことができる、中にはカメラを設置してもらえるものもあります。

見守り結果の確認方法もさまざまで、何か異常があれば駆けつけて確認してくれるサービスもあれば、異常があったときだけメールで知らされる、センサーの結果を常にスマートホンやタブレットなどで確認できるものなどがあり、必要に応じたものが選択できます。

>>「高齢者の安否確認ができる見守りサービス10選」記事はこちら

有料老人ホームに入居する

自宅が一番と考えがちな高齢者にとって、施設に入居することはどうしても敷居が高いものですが、日々の見守りはもちろん健康面や食事面まで気遣ってもらえる有料老人ホームは何より安心です。人との触れ合いに積極的な人でなくても、食事のときだけでも皆と顔を合わせ、会話してといったことができるだけでも大きな変化です。

施設によって取り組み方は違いますので、利用する高齢者に合ったところを選べば、かえってくつろげる、安心だと言われることも多いようです。慣れてきた後には自宅に数日帰ることを面倒くさがり、外泊を拒否することもあるほどです。

孤独死が少しずつですが増え、その発見までの日数も長くなっている傾向を見るにつけ、こういった選択肢も考えてみてもよいのではと思います。

まとめ

高齢者の孤独からくる問題とその解決策についてご紹介しましたが、いかがでしたか。

ニュースでも話題になっているので今更という方も多いでしょうが、同居が一番だろうと思いつつ、なかなか解決のために動けていないという場合も案外多いのではないでしょうか。

残念ながら子どもの成長を止められないように、老いを止めることは誰にもできません。子どもの成長に合わせてあれこれと手をかけていくのと同じく、親の老いとともにそのときどきに合う対応をしていくことは、どちらも自然なことだと考えます。

蛇足ではありますが、こういった問題は誰かひとりが抱え込まず、より多くの人で分担することをおすすめします。中でもおすすめしたいのは高齢者にとっての孫世代が関わることです。とかく深刻になりがちな子世代との違いに助けられることはきっと多いだろうと思います。

>>「データでみる高齢者の孤独(前編)~高齢者の孤独の現状~」記事はこちら

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