親子の老後編集部

データでみる高齢者の孤独(前編)~高齢者の孤独の現状~

暮らし

2018.9.3

戦後の大きな変化のひとつに核家族化があります。両親がまだ元気なうちはいいですが、すこしずつ生活上の問題が出てくると高齢者だけの生活に不安が出てきます。どちらか死別あるいは施設に入るなどして一人暮らしになれば、その心配はなおさらです。

ここではそういった高齢者の孤独についてデータを引用しながら2回に分けてお伝えします。前編の今回は「高齢者の孤独の現状」に焦点をあて、お伝えします。

1.高齢者の孤独の現状

一人暮らし高齢者の動向

下のグラフは、内閣府「平成20年版高齢社会白書」のデータから総務省が作成した「平成22年版情報通信白書」における「一人暮らし高齢者の動向」です。

このグラフの対象となる高齢者は65歳以上で、作成されたのは、平成20年(2008)なので、それ以降は試算で作られています。グラフによると、2005年時点ですでに増加傾向がみられ、それ以降も増加すると予想されているのがわかります。

具体的に数字をみると、2005年の65歳以上の一人暮らし高齢者数は、男性約105万人、女性約281万人となっており、全高齢者人口に占める割合は男性9.7%、女性19.0%になります。つまり男性の10人にひとり、女性の5人にひとりが一人暮らしをしています。

あくまで2030年までの試算ですが、その後も一人暮らし高齢者数の増加傾向は続き、2030年の数字では、男性約278万人、女性約439万人です。

全高齢者人口に占める一人暮らしの割合は男性17.8%、女性20.9%になると予想され、特に男性の一人暮らし率が9.7%から17.8%と、25年の間に大きく増える予想です。女性だけでなく男性も5人にひとりが一人暮らしをする状況になるということですね。

参照元:平成22年版情報通信白書

年々増えている孤独死

内閣府が東京都監察医務院の資料をもとに発表したデータによると、東京23区内で孤独死された65歳以上の高齢者の数は、平成14年には1400人弱、平成18年には2000人弱、平成21年には2200人弱、平成25年には2700人弱と年々着実に増加傾向にあります。

参照元:平成26年版高齢社会白書(概要版)

孤独死で発見されるまでの日数は伸びつつある

また東京都監察医務院の発表によると、孤独死の死後発見の平均日数は年々日数が伸びており、平成18年には男性が12日、女性では6.5日となっています。この数字はあくまで平均なのでもちろんそれよりも多い日数がたった頃に発見された例は数多くあるわけです。

都市再生機構のが運営管理する賃貸住宅でも、死後1週間を超えた後に発見された高齢者の人数は年々増えており、平成20年には89人、平成22年には132人、平成24年には157人となっています。

孤独死に関するニュースなども耳に入るのでしょうか。孤独死を身近な問題と感じている高齢者は、ひとり暮らしの高齢者では4割を超えています。

参照元:東京都23区における孤独死の実態5P(東京都監察医務院)

2.孤独を感じるひとり暮らし

たとえひとり暮らしでも、「うちの母親は社交的だから大丈夫」「いろいろ近所の人が気にしてくれているから」とひとまず安心している人も多いでしょう。
しかし内閣府の発表資料における下のグラフを見ると、思った以上におしゃべりをしていない姿が浮き彫りになっています。

10人にひとりは、1週間に1回程度の会話

電話やメールを含む会話の頻度では、ひとり暮らし世帯で毎日だれかしらと会話している割合は男性で71.3%、女性で78.0%です。この数字だけを見ると安心しますが、夫婦のみの世帯の91.6%、92.6%と比べると明らかな減少がみられ、夫婦で暮らしていた状況からひとり暮らしになったとたんに会話が減り、寂しさを感じる人が多いことが数字にも表れています。

少ない頻度を見てみると、男性では1週間に1回未満やほとんど話をしていない人は7.5%で、1週間に1回程度の人と合わせると11%もの人がせいぜい1週間に1回程度の会話です。おしゃべり好きと思われる女性でも、1週間に1回程度の人の割合は8%もいます。つまり男女とも10人にひとりは1週間に1回程度しかおしゃべりの機会がありません。

近所との付き合いは挨拶程度かも

会話の相手として考えられるのはもちろん子ども世代からの連絡もあるでしょうが、日々のなにげない会話ができる近所との付き合いはどうでしょうか。

同じく内閣府からの発表資料によると、ひとり暮らしの男性では17.4%もの人がつきあいはほとんどないと答えています。挨拶程度の人と合わせると64%の人が近所の人とのつきあいはない、もしくは挨拶程度となっています。お互いの状況をそれとなく伝え合うおしゃべりはされていないようです。

一方女性の場合はというと、つきあいがほとんどない割合は6.6%で、挨拶程度の人と合わせると39%になります。男性よりはおしゃべりがされているようですが、約40%の人が挨拶程度以下の薄い付き合いであることは少し驚きです。

実は困っていることが多い?

もうひとつ興味深い資料があります。ひとり暮らしをしていて困ったときに頼れる人がいないと答えている人の割合についてです。女性のひとり暮らしの場合は8.5%と低い数字ですが、男性の場合は高く、20.0%もの人が困ったときに頼れる人がいないと答えています。

この困ったときというのは、病気のときはもちろんですが、日常生活に必要な作業、たとえば電球の交換や庭の手入れなどを指しています。

ひとり暮らしをしている場合、家に定期的にヘルパーが来るなどのサービスを受けていることは多いでしょうからそのときに頼めば大丈夫とも考えられそうですが、来たそのときに思い出して頼むことができなかったり、電球の交換などは待ったなしですぐにしてほしいことだったりと、実際には十分なサービスを受けることはできません。

結果、男性では5人に1人が、困ったときに頼れる人がいないと答えているのです。男性はなかなか他人にじょうずに頼みにくいというところもあるかもしれませんが。

同居は望まず今のままでよい?

さらにもうひとつ、内閣府からの調査結果をご紹介します。一人暮らしの高齢者に今後の同居の意向についてのアンケートをしたところ、「今のままでよい」、つまり同居は望まないと答えた人が平成14年には71.9%、平成26年には76.3%といずれも高い数字、そしてその割合は増えているのです。

一人暮らしは珍しいことではなくなり、そういうものだと納得し、過ごしている様子がうかがえます。子世代からすれば気持ちがほっと救われる数字の高さですね。

参照元:平成26年版高齢社会白書(概要版)

まとめ

高齢者の孤独の現状について、一人暮らしの数字と生活の中での孤独を感じる割合を表すアンケートからお伝えしましたがいかがでしたか。

一人暮らし世帯は増えていること、そして今後も増える傾向にあること。そして元気で暮らしているように見えても実際にはおしゃべりする機会が思いの外少なかったり、近所との付き合いも希薄だったりといった様子がみえました。またそれをよしとする気丈な声も聞かれました。それでも犯罪と火事のことなど心配すればきりがないのですが。

次回の後編では、孤独なひとり暮らしによって実際に起こりうる問題やその解決策についてお伝えしたいと思います。

>>「データでみる高齢者の孤独(後編)~孤独による問題と解決策~」記事はこちら
>>「高齢者の安否確認ができる見守りサービス10選」記事はこちら

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