親子の老後編集部

高齢者運転の注意点と対策。高齢者の免許更新と自主返納を解説。

暮らし

2017.12.4

社会の高齢化が進むにつれて、高齢者ドライバーの交通事故のニュースを耳にすることも増えてきました。高齢者の運転は社会的にも大きな問題になっています。
ここでは、高齢者の運転について、注意すべき点とその対策についてご紹介します。

高齢者の運転にはどんな危険がある?

車に乗っているときは、無意識のうちにいろいろなことを判断しながら運転しているものです。通り慣れた道でも、一緒に走っている車や歩行者の状態は常に変化しています。
また、空が曇ったり雨が降ったりすると視界も悪くなります。夕方から夜になって暗くなると周囲も見えにくくなります。

高齢になると、視覚や聴覚などの機能が衰えてきます。特に車で走っているときは、見たものを瞬時に判断してハンドルやブレーキを操作することが必要となりますが、年をとるととっさの判断が難しくなります。

認知機能が低下すると、道がわからなくなったり、交通標識を見落として高速道路を逆走してしまうようなことも起こってきます。運転中に心筋梗塞や脳卒中を起こして運転ができなくなるリスクも高くなります。

交通事故は、運転している高齢者にとって危険なのはもちろん、他人を巻き込んでしまう可能性もあります。車の運転には大きな責任が伴うのです。

高齢者がよく引き起こす自動車事故

・高速道路の逆走
高齢者がよく引き起こしてしまう自動車事故で多いのが高速道路の逆走です。高速道路の逆走による事故の7割が65歳以上の高齢者の運転によるものです。逆走運転による死亡事故割合は13%と一見低いように思えますが、一般の事故全体に占める死亡事故割合に比べると40倍もの割合です。逆走事故はそれほどまでに危ないのです。

・駐車場での事故
駐車場での事故も多いです。車を駐車する際にアクセルとブレーキを踏み間違えることが原因で他の車に激突したり、店の中に突っ込んだりと死亡事故にも繋がります。踏み間違えの事故自体は駐車場だけでなく、一般道でも十分起こり得るので注意喚起が必要です。

高齢者が安全に運転するためには

高齢者が運転する際には、より安全に注意する必要があります。視力が落ち、視野も狭くなるので夜間の運転は控えたほうがいいでしょう。また、とっさの判断力や反射神経も衰えていますので、交通量の多い道路では無理のない運転を心がける必要があります。

現在は、衝突を防止したり、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ機能がついたりした車が次々と販売されています。新しく車を買い換える際にはそのような車を候補に入れるといいでしょう。

しかし、そのような対策をしても不安が残る場合には、免許の自主返納を検討してみましょう。

高齢者の運転免許の更新手続き

2017年から道路交通法が改正され、運転免許の更新時に行われる高齢運転者に対する検査や講習が強化されました。

免許証の更新期間満了日(誕生日の1か月後の日)の年齢が75歳以上の高齢者には、更新手続きの前に認知機能検査の受検と高齢者講習等の受講とが義務づけられました。

認知機能検査は、免許証の更新期間満了日の6ヶ月前から受検ができます。この検査の結果、「認知機能に問題なし」、あるいは「認知機能が少し低くなっている」という結果の場合は、高齢者講習を受けて免許の更新をすることができます。

高齢者講習は免許の更新手続きとは別個に指定の運転教習所で行われます。受講には所定の受講料がかかり、座学・運転適性検査と実車による講習があります。検査時間はトータルで2時間半程度、料金は自治体によって若干異なりますが、12,000円ほどです。

認知機能検査で「認知機能が低くなっている」という結果が出ると、専門医の検診を受けるか、医師の診断書の提出が必要となります。そこで「認知症ではない」という結果が出ると、高齢者講習を受けて免許の更新となります。

しかし、認知症と診断されると運転免許は取消となり、以後の免許の更新はできません。

免許の自主返納とは

運転免許の自主返納は、社会の高齢化を受けて、1998年から制度化されました。自主返納する人の数は年々増加しています。

自主返納については、特に年齢制限は定められていません。自主返納した場合、原則としてその人が所持しているすべての運転免許が返納となります。しかし、希望をすれば免許の一部のみを取り消しすることもできます。たとえば、自動車の免許は取り消しをするが、自動二輪の免許は残す、ということなども可能です。

運転免許証を自主返納して困ることとして、身分証明書がなくなることがあります。運転免許証は写真付きの身分証明書としてはとても便利なものなので、免許証がなくなると運転以外の面でいろいろと不便なことが出てきます。

そうした不便を解消するために、免許を自主返納した場合には「運転経歴証明書」を発行してもらうことができます。

「運転経歴証明書」とは、免許証と同じようなカードで、免許を取消申請した日から5年ほどさかのぼった運転に関する経歴が証明されています。運転経歴証明書は、銀行などの窓口や役所、年金事務所などで、運転免許証と同じように身分証明書として使うことができます。

また、現在は、免許の自主返納を促進するために、運転経歴証明書を見せると受けられるいろいろなサービスが増えてきています。バスやタクシーが割引になったり、買い物をした際の宅配料金が無料になったり、ショッピングセンターで優待が受けられたりします。

運転免許証を返納したときには、運転経歴証明書を交付してもらうのを忘れないようにしましょう。

免許証の自主返納は、本人が手続きをすることが難しい場合、家族などの代理人が手続きをすることができます。この場合は、医師の診断書などのように本人が手続きをすることが難しいことを証明する書類が必要となります。また、本人に電話で自主返納の意思があるかどうかの確認が行われます。代理人が自主返納の手続きを行った場合は、運転経歴証明書の交付はできません。

運転免許証の自主返納のメリットとデメリット

運転免許証を自主返納した場合、メリットとデメリットがあります。
メリットは交通事故を未然に防ぐことができることです。

デメリットとしては次のようなことがあります。
・移動が不便になる
車がないと不便な地域に住んでいる場合、車がないと毎日の買い物や通院にも苦労するようになります。送り迎えが必要となり、家族の負担が増えることも考えられます。

・高齢者の意欲が減退する
自動車の運転とは、単に移動の手段というだけでなく、行きたいときに行きたいところに行けるという自由を感じられることでもあります。自分で運転ができなくなると、どこかへ出かけようとする意欲が低くなり、生活するうえでの活力も失われてしまうかもしれません。

運転免許証を自主返納するときには、自家用車が利用できなくなる不便さをどのようにカバーするかを考えておく必要があります。

買い物に関しては、生協などの宅配を利用することができます。車の代わりとしては、バスやタクシーの利用が一般的となります。車の維持費と比較して、買い物や通院にタクシーを使うとどのくらいの差になるのかを計算しておくといいかもしれません。

また、介護保険を利用していると、ヘルパーに買い物に行ってもらったり、通院を介助してもらったりすることが可能な場合もあります。ケアマネジャーに相談してみるといいでしょう。

高齢者に運転をやめるように説得する方法

本人のためにも社会のためにもそろそろ運転をやめてほしい。そう家族が思っても、実際に高齢者に運転をやめるように説得するのは難しい場合が多くあります。

年をとって危険なので運転をやめるように言うと、「自分はまだ大丈夫」「年寄り扱いするな」などと怒って説得に応じようとしないという話もよく耳にします。
本人が不安を感じていても、車がないと買い物や通院に困る場合はなかなか車を手放せないこともあるでしょう。

高齢者に運転をやめるように言うときは、頭ごなしに説得するのではなく、まずは車がなくなることによって生じる生活面での不安をどのように解消するか、一緒に考えるようにしましょう。車がなくなると毎日の生活でどのような不便が生じるか。車がなくてもバスや電車、場合によってはタクシーを使って対応できるか。

家族が送り迎えなどのサポートをすることが必要になってくるかもしれません。家族の負担が増えることになりますが、もし高齢者が他人を巻き込んだ交通事故を起こせば、高齢者の家族にとっても被害者の家族にとっても取り返しのつかない事態になります。

運転をやめるように言うと「年寄り扱いするな」と怒るのは、運転が「自分はできる」という自信につながっているからです。運転をしなくても生きがいを感じられるような場を考えるなど、家族がサポートしていけるといいでしょう。

まとめ

高齢者の車の運転にはいろいろな問題があります。
交通事故という悲しい結果にならないようにするためには、高齢者本人の問題として片付けるのではなく、家族全体で高齢者をサポートし、家族全体の問題として取り組むことが必要です。

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