親子の老後編集部

高齢者の転倒予防のための運動プログラムと運動する際の注意点

健康・介護

2017.11.8

高齢者の事故の中でも多いのが転倒。転倒は本当に怖い事故です。
後ろに転んだりして、後頭部を強く打ちつけたりすると、そのまま死亡事故につながる恐れもあります。また、命に別状はなくても、骨折など大きな怪我をしてしまうとそのまま寝たきりになってしまう可能性もあります。

実は、外出中に転倒するよりも、普通に家の中にいるときの方が転倒するケースが多いというのを知っていましたか?
案外、家の中というのは外よりもバリアフリーが行き届いておらず、高齢者の方々にとっては危険がたくさんあるのです。滑りやすいフローリングやお風呂場のタイル、敷居の小さな段差など、物的要因を取り除いていくことも大事ですが、それには限界があります。

転倒予防は物的要因の排除だけでなく、身体的能力の向上や維持によってもできます。
そもそも高齢者が転倒する多くの原因は若い時よりも身体能力や筋力が落ちることにあると言われています。そのため、高齢者になってからの運動は転倒を予防し、体を守るという意味でも非常に大事なのです。

この記事では、高齢者の転倒予防のための運動プログラムや、運動をする際の注意点についてご紹介していきたいと思います。

まずは転倒の原因を知ろう

転倒する身体的な要因は体のどこにあるのでしょうか?

足の筋力低下によるものが多いですが、それだけではありません。背中が曲がることによって、体の軸がぶれ、ちょっとしたアクシデントでも転んでしまう原因になります。

また、若い時は転んでも、とっさに手をついて回避することができましたが、高齢になるとこれが難しくなってきます。いわゆる瞬発力の低下です。

さらに、柔軟性があることで、段差の際に体幹をまっすぐに保ったり、転倒しても上手く受け身を取れていたものが、その低下とともに難しくなってきます。

したがって、転倒を予防するためには、「筋力」・「瞬発力」・「柔軟性」の三つを鍛えることが重要になります。

転倒予防のための運動プログラム

1.最初は、体の柔軟運動から

まず、準備運動も兼ねて、腕伸ばし。
足を肩幅に開きます。両手を腕の前に組めば準備は完了。そのまま腕を目いっぱい伸ばしたり、元に戻すということを10回ほど反復しましょう。
その際、腕を一番大きく伸ばした際、5秒間ほど停止し、痛気持ち良い感じを味わってください。このトレーニングはこれだけで大丈夫です。

次に、腕の押上げと横曲げ。
これも先ほどと同じように足を肩幅に開き、両手を腕の前に組めば準備は完了。
こちらのトレーニングはそのまま組んだ腕をゆっくり頭上に上げることが重要です。肘を伸ばしたまま右側に少し曲げ、5秒間停止したり、ゆっくり元に戻しながら左側に少し曲げ、5秒間停止することを10回反復します。
横に左右する時、反動をつけずに行うことが重要になってきます。

2.背中を伸ばすトレーニング!

さて、次に背中を伸ばすトレーニングです。
前述の通り、高齢者は背中が丸まっているというだけで転倒のリスクが格段にあがります。ここは、背中をなるべく真っすぐにするためのトレーニングをしてみましょう。

まずは四つん這いになります。
両手を前に目いっぱいだし、背中を伸ばします。若干痛くなってきたなというところで止めて10秒間停止します。大きく息を吐きながら元に戻り、背中が伸びてくるのを感じながら数回行うようにしましょう。

その姿勢のまま、家族に両手を持ってもらい、少しだけ引いてもらうのも良いでしょう。ただし、勢いよく強い力で引いてしまうとケガの原因となってしまうので細心の注意をはらうようにしてください。

3.ふくらはぎを鍛えよう!

ふくらはぎには大きな筋肉があり、この筋肉は全身の筋肉の中でもとりわけ大きな力があります。その反面、この筋肉が弱ってしまえばすぐに足の制御がままならなくなります。足元がおぼつかなくなると転倒の危険性もあることから、しっかりと鍛えましょう。

方法は簡単です。
まず、片一方の手を壁に置きます。そして、鍛えたい足をもう片方の足より一歩幅分くらい下げます。そして、前にある反対側の足を上げるだけです。その姿勢のまま5秒ほど保ってください。これを両足10セットずつくらいやりましょう。

このトレーニングはふくらはぎだけでなく、バランスのトレーニングにもなりますので、特におすすめできるものです。

4.前脛骨筋(ぜんけいこつきん)を鍛えよう!

次に前脛骨筋を鍛えましょう。この筋肉は階段を上り下りするときに使う筋肉ですので、家に階段のある方は特にやっておくべきトレーニングです。これには準備物が必要です。ステップ台と呼ばれる専用のトレーニンググッズを使うのも良いですが、段差がつくれるならなんでもいいです。

トレーニング方法も簡単です。
片一方の足を何度も何度も段差の上に上げることを繰り返します。左足が終われば次は右足といったような感じで3セットほどしましょう。
このトレーニングをする際、段差よりも高めに足を持ち上げ、すこししんどいなと思う程度まで続けてください。

5.中殿筋(ちゅうでんきん)を鍛えよう!

最後に中殿筋です。お尻の周りの筋肉なのですが、この筋肉は小さいにも関わらず、人が歩くのにおいてかなりの役割を担ってくれる筋肉です。ふくらはぎと違って衰えるのが早いので、しっかりトレーニングしましょう。

最も簡単なトレーニング方法はサイドステップ運動です。とは言っても、実際にステップをするわけではありません。
直立した状態から、どちらかの足を開いてください。その開いた足の方に体重をかけ、その後直立の状態に戻ります。これを右左10回ずつくらい繰り返してください。

運動をする際の注意点

今回ご紹介したトレーニングはかなり軽いものですので、危険性はありませんが、これに慣れてくると、もっと激しいトレーニングをしたくなりますよね。しかし、運動は認知症の予防や生活習慣病の予防など、様々なメリットがある半面、逆に突然の過度な運動は脳や体に深刻な負荷をかけてしまう危険性があります。

高齢者は自分が思っている以上に体が衰えているものです。若い時と同じ要領で運動しては、酸欠や熱中症なんかにも陥りかねません。
ゆっくりとしたペースで運動量を多くしていき、調子が良くない場合はしっかりと休憩をするようにしましょう。

>>「高齢者が運動する上で知っておきたいリスクと気を付けたいこと」はこちら

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